離婚後、別れたあとでも慰謝料請求できる?

離婚後の慰謝料

離婚には慰謝料が付き物のイメージがありますが、夫婦がお互いに話し合ってする協議離婚では慰謝料についてもしっかりと取り決めをしたうえで離婚することが多いです。

しかしとにかく面倒な話はせずに急いで離婚したい、相手への長年の情愛から慰謝料については特に主張しなかったなどで、慰謝料の取決めをせずに離婚してしまうケースもたまに見受けられます。

この場合、法律上の離婚が済んでしまっている段階で慰謝料の請求は可能なのでしょうか。今回は離婚後の慰謝料請求について見ていきます。

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慰謝料請求は離婚後にもできる?

結論から言うと、離婚後でも慰謝料の請求は期限付き・条件付きで可能です。慰謝料というのは民法上の損害賠償の一種で、特に精神上被った損害に対する賠償のことをいいます。

一般的に損害といえば例えば他人の車を損壊させたらその修理代金分が「損害」となり、その代金分を損害賠償として支払うことになります。損害を受けた側はその賠償を請求する権利があるので「損害賠償請求権」を有することになります。

しかし慰謝料の場合「精神」に対する損害ですから、物品のようにシンプルに損害額を算定するのが難しいという特質があります。

この点は後述しますが、これまでの離婚慰謝料事件の積み重ねからある程度の相場や算定の要素などができています。また最初に述べた通り慰謝料の請求はいつまでもできるものではありません。

永久に認められると法的に不安定な状況が続き社会を混乱させるので、これを防ぐために一定の期限が設けられています。期限には「時効」や「除斥期間」がありますが、この点も後述します。

離婚前の慰謝料協議とは異なる「離婚後の慰謝料請求」

離婚そのものも夫婦が協議によって行うのが基本ですが、この中で慰謝料についても協議がなされるのが普通です。離婚事案で難しいのは、お金が絡む問題が慰謝料以外にも財産分与や養育費など複数あり、それぞれが綱を引きあうように絡み合ってしまうことです。慰謝料と特に関わりがあるのが財産分与です。

財産分与は夫婦が共同で築いてきた財産をその貢献度に応じて分け合うものですが、貢献度というのは数字化しにくいため財産分与の算定自体で揉めることもあります。

財産分与の対象になるのは法律上の婚姻後に夫婦の力によって手に入れたお互いの給料などの財産や家具、不動産などですが、これを分与するにあたり「慰謝的な清算」も含めてなされることがあります。

従って財産分与の取決めの内容からすでに慰謝的清算がなされている場合には原則として離婚後に慰謝料の請求はできません。

慰謝料の請求に不安がある場合は、コチラの記事を参考にしてください。

離婚原因や有責配偶者が明暗をわける離婚後の慰謝料協議

離婚に伴う慰謝料というのは精神に対する損害を賠償することだと述べましたが、何らかの損害を受けていなければ賠償請求もできません。

慰謝料を請求できるのは、例えば不倫をされた、暴力を受けた、悪意の遺棄(家族としての面倒をみない)などの行為がなければなりません。離婚に至る過程でその原因を作った側を「有責配偶者」といいます。

つまりは離婚の責任を作った側であり慰謝料を支払う側ということです。この有責配偶者に対して、他方の配偶者が慰謝料の請求を行うことになります。

不倫による慰謝料の相場は概ね100万円~300万円の幅に落ち着くことが多いですが、ケースによってはかなり逸脱することもあります。例えば資産家や有名人の事案の場合です。

そうでない場合は離婚に至った原因、有責配偶者及び他方配偶者の責任の度合い、あるいは婚姻期間などの要素を総合的に考慮して慰謝料を決めていきます。

離婚慰謝料には時効がある

慰謝料は民法上の損害賠償の請求権ですので、この請求権の時効や除斥期間の適用を受けます。離婚に至る原因を作った有責配偶者のどんな行為で精神的損害を負ったかによっても状況が変わってきますが、基本的には離婚成立から3年経つと慰謝料の請求はできないと考えて下さい。

民法上、損害賠償請求権は被害者やその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき(時効)、あるいはその損害を生じさせた不法行為の時から20年経過(除斥期間)によって失うことになっています。

離婚に伴う慰謝料に当てはめると、暴力や不倫など結局は離婚に至る原因があり(つまり双方が知って)、それゆえ離婚に至ることが多いので時効の方の適用があり、離婚から3年経つことで慰謝料請求ができなくなることがあるのです。この点、離婚時には不倫の事実を知らなかったなどの場合別の問題をはらみますので後述します。

また時効は厳密には相手方が時効を援用すること(時効を主張すること)によって請求ができなくなるので、相手が無知であれば上手くすれば払ってもらえるかもしれません。

財産分与、年金分割の請求権にも期限がある

ところで、先ほど出てきた財産分与についても請求できる期限があります。慰謝料とは異なる名目ですのでその期限も異なります。財産分与の方は基本的に離婚後2年を経過すると請求することができません。

年金分割は近年導入されたものですが、配偶者の年金保険料や加入期間も他方配偶者の貢献によって積み立てられたものという考え方によるものです。年金分割の請求も原則として離婚から2年を経過すると請求できなくなります。

離婚後に不倫を知った場合の慰謝料請求

慰謝料の時効の項で指摘しましたが、不倫の事実を知らないまま離婚し、その後不倫の事実が発覚するケースもあります。

例えば不倫をした方の配偶者が責任を問われることを恐れてその事実を隠したまま、性格の不一致など他の理由をことさらに強調して離婚に至るように仕向けた場合などは、他方配偶者は不倫の事実を知らないまま離婚してしまうケースもあります。

このような場合でも不可能ではありませんが慰謝料の請求に高いハードルがかかってしまいます。次の項で見ていきましょう。

離婚後でも不倫相手に慰謝料請求できる?

離婚後に慰謝料を請求する相手は有責配偶者でも不倫の相手でも構いませんので、不倫相手への請求も可能です。離婚時にすでに不倫の事実を知っていて、これがために離婚した場合は通常通り離婚から3年を経過するまでは慰謝料の請求が可能です。

問題は離婚時にはその事実を知らないまま離婚し、後日発覚したようなケースです。

慰謝料の時効の項でお話したように、時効は「被害者やその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間」ですから、離婚から3年経っても不倫から20年経過する除斥期間までは請求が可能なように思われます。

しかしこの場合、離婚自体は不倫を原因とせず他の理由により離婚がなされたのであるから、不倫が原因で離婚に至ったとして慰謝料を請求するのが難しくなってしまうのです。もちろん不倫自体の精神的損害を主張することはできますが、裁判の場合は認められたとしてもかなりの減額を迫られることがあります。

慰謝料の請求自体は自由にすることができますが、実務上、時間が立ち証拠が散逸した後では有責配偶者側が逃げ切れないだけの決定的な証拠をつかむことも難しく、不倫があったような噂だけでは不十分です。

この点、離婚後の慰謝料請求で損を避けるための工夫や手続等について次の項で説明します。

離婚後の慰謝料請求・手続き方法

慰謝料の請求自体は相手が認めさえすれば支払いを受けることができます。ですから任意の時期に任意の額の支払いを求めることは自由なのです。相手が応じない場合は最終的に裁判で争うしかありませんが、時効や除斥期間を過ぎるとこれも難しくなります。

除斥期間は延長できませんが、時効は内容証明郵便などで「催告」を行えば一旦時効の進行は止まり、その後6か月以内に裁判を起こせば時効の期間はまた0に戻ります。また離婚のときに事前に手を打っておく工夫も有効です。

離婚の際には離婚協議書を作成するのが一般的ですが、この中で金銭についての取決めをする際に工夫を行います。

すなわち、「本離婚に至る過程で当事者に不倫の事実はないので、この協議書で定める金銭的清算事項にその算定は入っていない」との内容の文言を入れておきます。

本当に不倫の事実がなければ何も恐れることはありませんから反対しないでしょうし(反対されたらかなり怪しいのでよく調査することをお勧めします)、もし相手方に不倫の事実があった場合には後から請求する際に「不倫による慰謝料の上乗せ」を請求できます。

つまり「あの時の取決めには不倫による慰謝料分も入っていた」という抗弁を相手にさせないことができるのです。これによって離婚後に知った不倫による慰謝料請求の道を残しておくことができます。

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