大切な書類ですが、書いたことがある人は限られていると思います。問題なく受理されるために、離婚届の記入方法を詳しく見ていきたいと思います。
離婚届のダウンロード
離婚届はお住まいの市区町村の役所に行けば無料でもらえますが、ダウンロードして使うこともできます。その場合、離婚届のダウンロードはこちらからできます。
離婚届をダウンロードしてプリントアウトする場合、必ずA3で出力しましょう。A4で出す場合は、プリントアウトした後にA3へ拡大コピーをすること。感熱紙は不可となりますので注意してください。
目次
項目ごとに見る離婚届の書き方
自分たちで記入しなければならない場所は、基本的に番号が振ってある部分になります。項目ごとに説明したいと思います。
1 氏名と生年月日、住所
氏名は婚姻中の姓で記入します。生年月日は西暦ではなく、昭和・平成を使います。住所の部分は現在住んでいる場所です。別居している場合は、それぞれに違った場所を記入しましょう。
2 本籍
夫婦の本籍地と、戸籍筆頭者(戸籍の一番最初に記載されている人物の名前)を記入します。本籍地は現在お住まいの地域とは別になっている可能性もあるので、一度確認してみることをお勧めします。外国製の方は国籍の記入だけになっています。
3 父母の氏名
続いて下の段は、それぞれ両親の氏名を記入します。両親が離婚していない場合、母親の姓は記載せず、名前だけ記入しましょう。続き柄は、長男、長女、二男、二女(次男・次女ではなく、二男・二女と書く)のように兄弟関係もわかるように記入します。
4 離婚の種別
離婚の形式は何かをチェックします。二人で話し合い、双方納得したうえで離婚届を提出する場合は「協議離婚」の場所にチェックを入れましょう。その他、調停、裁判などを行った場合はそれぞれにチェックを入れ、確定した日付も記入します。
5 婚姻前の氏にもどる者の本籍
婚姻中は夫の苗字を名乗っていた妻が、離婚後に元の姓に戻るために記入する箇所です。もしも離婚後も婚姻中の姓を名乗りたいと思った場合は別途「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出する必要があります。
6 未成年者の子の氏名
成人していない子供がいる場合、どちらが親権者になるのかを決めて、子供の名前を記入します。未定のままでは提出することができません。
7 同居の期間
いつから同居生活をはじめたのか、その年月を記入します。西暦ではなく昭和・平成を使います。同居をはじめた日の正確な日付は必要ありませんので、ここはだいたいでも良しとされています。
8 別居する前の住所
別居をする前の夫婦で生活をしていた場所の住所を記入します。現在もこちらに住んでいる場合も同様です。
9 別居する前の世帯のおもな仕事
夫婦生活を行っていた時、その世帯の主な収入源となっていた仕事を、あてはまる項目から選びチェックを入れます。専業主婦だった場合、夫婦の職業(妻の職業)は空欄で構いません。
10 その他
両親が養父母であった場合、ここに記入します。記入方法は(3)の父母の氏名と同様の記入方法になります。
11 届出人
夫婦それぞれが自分で署名しなければなりません。印鑑は同じものではなく、別々のものを用意しましょう。
12 証人
成人した二人の証人が必要になります。それぞれに氏名、生年月日、住所、本籍を記入してもらい、押印してもらいます。証人が同性の場合は、それぞれ別の印鑑を使ってもらいます。成人していれば誰が証人になっても良いので、夫婦の子供になってもらう場合もあります。
こちらの証人は協議離婚の際にのみ必要な部分で、調停離婚や裁判離婚の場合、記載は必要ありません。
離婚届の書き方見本
離婚届の記載例を紹介します。状況によって記入する箇所や事柄が違いますので、よく確認してください。下記の3つは全て参考例になります。
1 元の戸籍に戻る場合はこちら
2 新しい戸籍をつくる場合はこちら
3 離婚後も使っていた苗字をそのまま使いたい場合はこちら
離婚届提出時の必要書類と提出期限
離婚する形式によって、市区町村の役所に離婚届とともに提出する書類が違います。
協議離婚の場合
【必要なもの】離婚届・印鑑
【提出期限】なし
お互いの離婚の決意をして、双方の話し合いがまとまった状態で行う離婚を「協議離婚」といいます。これは離婚全体の90%をしめているものです。
基本的には離婚届のみで問題ありません。しかし本籍がある地域以外の役所に提出する場合は、届ける方の戸籍謄本が必要になります。何か間違いがあった時にその場で訂正できるよう、印鑑も持参していくことをお勧めします。代理人に提出をお願いする際は、代理人自身の本人確認ができるものを持参してもらいましょう。
調停離婚の場合
【必要なもの】離婚届・調停証書(または調停調書省略謄本)・印鑑
【提出期限】調停が確定した日から10日以内
必要になるのは調停調書省略謄本と呼ばれるものになります。調停証書でも可能ですが、こちらは離婚以外のことも多く記載されています。あまりプライベートなことは知られたくない場合は調停調書省略謄本を提出しましょう。こちらは調停が確定した日から数えて10日以内に提出をしなければなりません。この期限を過ぎてしまった場合、3万円以下の過料が課せられる場合もあるため、期限は必ず守りましょう。
裁判離婚の場合
【必要なもの】離婚届・調停証書(または調停調書省略謄本)・判決確定証明書・印鑑
【提出期限】裁判が確定した日から数えて10日以内
こちらも調停離婚と同様に、裁判が確定した日から数えて10日以内に提出をしなくてはなりません。裁判で離婚が確定されたとしても、書類を提出しない限り戸籍上ではまだ夫婦のままになっています。可能な限り早めに足を運ぶようにしましょう。
気をつけるべきこと
通常の離婚届には相手の署名や捺印、ふたりの証人が必要になりますが、調停離婚・裁判離婚の場合はそれらが一切必要ありません。弁護士に依頼した場合、離婚の手続きも同じようにやってくれると思い込んでいる方もいるようですが、書類の提出だけは自分でやるようにしましょう。
離婚届を勝手に出されないために/離婚届の不受理とは
【離婚届の不受理とは】
離婚届は書面に不備さえなければ通ってしまうものです。どちらか一方が報告なしに勝手に離婚届を出してしまう場合もないとは限りません。養育費や慰謝料の支払いの話し合いがまとまる前に出されてしまう場合もあります。
勝手に離婚届を出されてしまっては困る場合に、離婚届の不受理申出というものがあります。これは「離婚届を受け付けないでほしい」という書類になります。これは役所の戸籍窓口においてあります。申出の有効期限は6ヶ月になっています。延長をしたい場合は、もう一度離婚届の不受理申出を提出すれば期間が6ヶ月延長される仕組みになっています。
【勝手に離婚届を提出されてしまった場合】
離婚届は双方の同意無くして提出することは許されません。しかし提出されてしまえば、その戸籍を訂正・抹消することは簡単ではありません。離婚届の偽造は法律で罰せられるものですが、それを証明するためには離婚無効の調停を申立しなければなりません。相手が非を認め双方合意がとれてようやく戸籍を元に戻すことができます。
このように一度戸籍が変更してしまった場合、それを訂正することはとても大変な作業になります。無用なトラブルを避けるためにも、離婚をするかしないかで揉めている場合は離婚届の不受理申出をあらかじめ出しておくのも良いでしょう。